Circularity in Japan
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共通言語の発見
日本では、サーキュラリティはこの地球における生活様式の根本的な変革というよりは、廃棄物の削減に関する技術の集合体として理解される傾向があります。つまり、企業と政府の両方で、脱炭や脱プラスチックなど、産業分野のコンセプトへの注力に偏っているのです。日本の廃棄物処理システムはもはや限界を迎えており、まさに納得がいく話ではあります。例えば、東京の埋立場は、次世代には容量不足となります。しかし、経済効果やマーケティングなどの枠組みを越えて話し合うべき、切迫したニーズが存在するのも事実です。クリエイティブ系の人々は、いかにして日本にとってわかりやすい方法で、循環型経済を支えるアイデアや原則について話し合うための共通言語を構築すべきなのでしょう?
地域ならではの知見
各地域に根差したサーキュラリティのモデル:里山
日本の4割は、「人里近くの山々」という意味を持つ、里山と呼ばれる独特の地形に覆われています。標準的な里山は、森林、草原、河川、水田で構成され、人間に自然の恵みを与えてくれます。人間が地形の生産性と生態の多様性を活かして活動すれば、自然との共生は可能です。しかし、高齢化社会が原因で、里山の管理疎かになっています。若手世代が都市へと流れる傾向が続いており、共生と技能の知恵を継承する人々も減ってきています。デザイナーは里山にヒントを得たサーキュラリティからインスピレーションを受け、そこを出発点として利用することができるでしょう。
ペースの速いライフスタイル
日本の平均労働時間は、世界でも最も長い部類と言われています。一人暮らしの人口が多く(東京などの都市部では、40~50%の世帯が一人住まいです)、利便性と効率に対する大きな需要があります。製品やサービスは、しばしば「時間の節約」を意味する時短というワードを用いて宣伝されます。 市民はお弁当(レンジで加熱できる弁当箱)やお惣菜(作り置きの料理)など、手間のかからない食品をスーパーで買い求めます。このため、時間のかかる料理や、物の修理などといったサービスは、都市部の住民には人気がありません。デザイナーは、日本のコンテクストに基づいてデザインする際には、この急速なライフスタイルを考慮する必要があります。
風呂敷を用いたパッケージング
風呂敷は、国際的な知名度を得ている、日本の伝統的な梱包方式です。この布包みの方式は、汎用性が高く、様々な用途に使用できます。しかし、梱包の材料や方式はそれだけではありません。木材、竹材、木の葉、わら、紙、粘土。いずれも数百年間に渡って使用されてきた一般的な梱包材です。今日、プラスチックなどの合成素材への依存を減らす目的で、こうした素材の復活を試みている人々も存在します。しかし、残念なことにこうした代替手法の多くは、最新の生産方式には合致しません。また、使用において多くの知識や高い技巧が求められることから、今では多くの人が忘れているか、失われてしまっています。デザイナーはこの傾向を逆転させ、潮流を変えることができるのでしょうか?